2021-2022第1ターム「Digital Health」総括

概要

 世界での新型コロナウイルス感染症の蔓延により、人と人とが顔を合わせて交流することが制限される中、代替手段としてのオンライン技術の発達が急速に進んでいる。医学や疫学の分野でも、これらの技術は今後ますます導入されていくだろう。医療に携わる学生にとって、オンライン技術や最新のテクノロジーを用いた健康管理、いわゆるデジタルヘルスについて最新の情報に触れることは、今後の自身の将来を考える上で大変有意義な勉強会となるはずだと考えた。本タームでは、長崎五島列島における遠隔診療、パレスチナ難民キャンプにおける電子母子手帳の導入、フィリピンにおけるアプリケーションを用いた狂犬病対策という、医療リソースの乏しい地域における医療課題の解決方法と、その解決のためにデジタルヘルスが活用された事例を紹介しながら、デジタルヘルスの概観を学んだ。またWeek6は第62回日本熱帯医学会大会シンポジウム企画と同時開催という形で行われた。学生がデジタルツールを用いた新たな狂犬病対策を提案し、それに対し専門家とディスカッションを交わすという、双方向的な勉強会となった。これによりデジタル化の潮流の中で、未来の医学を担っていく我々学生が今後どのように対応していくべきなのか、学生自身が考えられる機会となった勉強会であっただろう。

勉強会の到達目標

①デジタルヘルスの概念を学ぶ
 新型コロナウイルス感染症の蔓延と共に、デジタルヘルス分野の注目度が増している。J-Tropsの学生が将来医療従事者として働く頃には、多くのオンライン技術が導入されていることだろう。まずは「デジタルヘルスとは何者なのか」、具体的な3つの事例を紹介することで、デジタルヘルスの概念に触れる。  

②デジタルヘルスの重要性を理解する
 先進国はもちろんのこと、東南アジア、アフリカ地域などのいわゆる「発展途上国」と呼ばれる地域での成長がめざましい分野である。医療アクセスへの不便性や、医療資源の不足を補うものとしての役割を果たしているのだ。J-Tropsの学生は、将来的に発展途上地域での仕事を希望する者が多いため、デジタルヘルス分野への理解が不可欠であるだろう。   

③ディスカッションの経験を得る
 我々の勉強会は昨年1年間は主に学生勉強会と専門家講演の2本柱で行ってきた。そのなかで、専門家の先生方と学生が直接交流する機会というのは、なかなか設けることができていなかった。今回は学生が立案した企画に対して、先生方から評価・フィードバックを受け、さらにはディスカッションを行い、双方向性のあるものを目指した。第一線で活躍されている先生方と意見交換を行うことは、学生の学びの意欲を向上させるものだと考える。

ご講演者様一覧

長崎離島におけるMixed Realityを用いた遠隔医療システム 
長崎大学大学院医歯薬総合研究科 離島へき地医療学講座(離島医療研究所)助教 野中文陽先生

途上国医療のデジタル化及びパレスチナにおける日本の支援
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA) 保健局長 清田明宏先生

フィリピンにおける狂犬病対策~アプリケーション開発からその先へ~
大分大学医学部微生物学講座教授 西園晃先生
大分大学医学部微生物学講座講師 齊藤信夫先生
WHO西太平洋地域事務局専門官 矢島綾先生
長崎大学熱帯医学研究所/長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科助教 吉岡浩太先生

勉強会日程一覧

2021/9/15  20:00~21:30 学生勉強会  
2021/9/24  20:00~21:30 野中文陽先生講演会 (Week1&2活動報告はこちらから)

2021/10/6   20:00~21:30 学生勉強会
2021/10/15 20:00~21:30 清田明宏先生講演会 (Week3&4活動報告はこちらから)

2021/10/25 20:00~21:00 学生勉強会
2021/11/3   13:30~15:00 第62回日本熱帯医学会大会シンポジウム企画 (Week5&6活動報告はこちらから

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