2021-2022の第1ターム「医療過疎地域におけるテクノロジーの活用」における、1つ目のサブテーマである「長崎離島におけるMixed Reality(複合現実)を用いた遠隔医療システム」に関して2回に渡る勉強会を行いました。のちに続くパレスチナ、フィリピンをフィールドとした2つのサブテーマに先立ち、デジタルヘルスに関する総論や、我々にとって身近な日本の医療現場においてテクノロジーを導入する背景や問題点を取り上げ、勉強会と講演会を開催いたしました。
学生勉強会概要
9月15日(水)に行われたWeek1の学生勉強会では、「デジタルヘルスとは何か」「オンライン診療と遠隔診療の違い」「VR、AR、MR、SRとは?」「医療で用いられるARに関するSystematic Reviewの紹介」そして次回のご講演に向けたイントロダクションとして「長崎大学の五島列島における取り組み」について紹介しました。40名が参加した学生勉強会後の質疑応答では、病院実習を行っている医療系学生の視点を含めて活発な議論が交わされました。
ご講演者
長崎大学大学院医歯薬総合研究科 離島へき地医療学講座(離島医療研究所)助教
野中文陽先生
9月24日(金)に行われたWeek2の専門家ご講演では、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科離島へき地医療学講座(離島医療研究所)助教でいらっしゃいます野中文陽先生にお越しいただきました。アレルギー・リウマチ内科、及び糖尿病内科専門医としての専門的なご意見も交え、NURAS(長崎大学関節リウマチ遠隔医療システム)の開発や、離島医療研究所で行われている、テクノロジーを活用した実証実験や地域疫学研究についてご紹介いただきました。
ご講演概要
NURASやドローンを用いた医療物資の運搬など、テクノロジーを用いた医療技術の開発のお話は、その目覚ましい発展に我々学生も驚くとともに、今後の問題点を考える貴重な機会となりました。また地域疫学研究については、医師だけでなく多職種で連携することの重要性や、1つの疾患に特化せず、ポリファーマシーや生活管理といった環境要因や分野横断的な視点の大切さを知ることができました。ご講演の最後には、臨床の現場で働いていらっしゃるご経験から、具体的な診療内容や島での暮らしのエピソードなどもご紹介いただき、様々な疾患と向き合いながら医師としての生活を楽しんでいらっしゃる様子が臨場感たっぷりに伝わってくる大変刺激的な講演会となりました。
文責:上杉優佳・山﨑里紗