住血吸虫症活動報告(week2)

活動報告

week2では、四半世紀に渡り各国で住血吸虫症の診療と研究を続けられてきた獨協医科大学特任教授(前熱帯病寄生虫学講座主任教授)である千種雄一氏をお迎えし、ご講演頂いた。長年の住血吸虫症診療の経験に基づいて肝臓や脳における病変の病態整理や検査所見についてのお話し頂いた他、千種先生がフィリピンにて取り組まれてきた様々な研究調査について紹介を頂いた。また、発表の中では千種先生の卒後の歩みについてご紹介頂き、熱帯医学に関わる医師のキャリアパスについてご指導頂いた。ご講演頂いた千種雄一先生は、フィリピンを中心に各国の有病地で住血吸虫症の臨床に携わられており、豊富な診療経験を持つ医師である。J-Tropsは医学生を中心に構成されている団体であり、実際に寄生虫疾患の臨床に携わられている先生からお話を伺えることは非常に貴重な経験であると考えたため、千種先生にご講演を御願いする運びとなった。
はじめに、「一寄生虫学徒のあゆみ」と題し卒後のキャリアについてお話し頂いた。千種先生は、医学部在学中にシンガポール大学にて行われた大学の熱帯医学研究会に参加されたことがきっかけで熱帯医学を志したという。医師としていかにして国際保健に取り組むか、その道標を示して頂いた。

前半には、日本住血吸虫症の肝臓病変と脳症についての解説を頂いた。肝臓病変については、日本住血吸虫症に特徴的なネットワーク形成などの肝臓超音波所見について、メコン住血吸虫との対比を交えながら解説を頂いた。後半では、アメリカ軍が比国レイテ島に再上陸を果たした際、多くの感染者を出したことに触れた上で、日本における住血吸虫症対策の歴史について詳しいお話を頂いた。また、先生がフィリピンで取り組まれている調査研究もご紹介頂き、Cagayan州とNegros Occidental州の新規有病地発見の経緯や比国でのアウトブレイク発生の経緯について、ご説明を頂いた。先生は若き日にフィリピンの医師たちから教えを得たと述べられていた。その先生が、現在では日本やフィリピンの学生をご指導される立場となり、さらには、千種先生に指導された先生へと指導する立場が受け継がれていることを感慨深く思うと話されていた。発表の最後には、以下の言葉を餞として、激励を頂いた。

We are teachers of today

with the methods of yesterday

which shall prepare doctors of tomorrow

on problems of the day after tomorrow.

-Bernhard Marshall, MD

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