住血吸虫症活動報告(week5)

2020年9月29日に住血吸虫症week5 学生勉強会を行いましたので、ご報告いたします。

演題

 Preventive Chemotherapy for NTDs

概要

 Week5学生勉強会では、NTDs対策の行政分野に関して理解を深めることを目的とした。Week1~4において、住血吸虫症の臨床像や病態生理、そして、基礎研究分野として種ごとの比較や現場で使用される検査について考察を行ったが、Week5では、それら全ての要素を吟味しつつ住血吸虫症の施策について検討した。特に、NTDs対策の大きな柱である予防化学療法(Preventive Chemotherapy: PC)としての集団投薬(Mass Drug Administration: MDA)の具体的な戦略に関して、MDAの対策の本質を考えながらNTDs対策の全体像を掴むことを目指した。

 MDAの要素として、主に6つの薬剤(ジエチルカルバマジン、イベルメクチン、プラジカンテル、アルベンダゾール、メベンダゾール、アジスロマイシン)と5つの疾患(リンパ系フィラリア症、オンコセルカ症、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、トラコーマ)を取り上げ、それぞれの薬剤がどの疾患をカバーできるのかについて考察した。1つの薬剤が複数のNTDsカバーできることや、イベルメクチン使用時のロワロワ症ミクロフィラリアの評価をはじめとする薬剤副作用の視点も含めて検討した。また、MDAを行う際には、対象疾患の罹患率の高い地域を選択し、感染症サーベイランスとして介入を評価するために、罹患率を適切にmappingすることの重要性を学んだ。さらに、NTDs対策においてグローバルな戦略の中心的役割を担うWHOについて、組織理念や活動内容について取り上げ、Week6のWHO矢島綾先生ご講演にむけての予習を行った。アフリカを中心とする低・中所得国の中には、MDAで対策可能な複数のNTDsが問題となる国が多く存在する。Week5では、データや実例を元に、MDAをはじめとするNTDs対策が限られたリソースの中で効率よく、そして安全に行われる必要があることを学んだ。

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