NPO・NGO ターム 勉強会報告書 2023年10月-11月

チームメンバー

勉強会運営責任者
塚原万葵 東京女子医科大学医学部医学科4年

勉強会運営員
川崎花純 長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 国際健康開発コース(MPH)
大矢千瑛 秋田大学医学部医学科6年
大城健斗 熊本大学医学部医学科3年

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勉強会概要

勉強会の概要

第1タームではNPO・NGOをテーマに取り上げた。熱帯医学や公衆衛生に興味のある学生が多数在籍していることから、国際支援活動を行っている「NPO・NGO」への理解を深めることを目的とした。計2回の勉強会では、「NPO・NGO団体の歴史と社会への貢献」「国際保健を支えるNPO・NGO団体の活動紹介」をテーマに、あまり知られていないNPO・NGOの歴史的背景やNPO・NGOの活動における様々な課題について学んだ。また、各勉強会の後行われた専門家による講演では、日本から誕生した2つのNPO・NGO団体をお招きし、海外で行われている「顧みられない熱帯病NTDsに対する対策」や「NPO団体創設」をテーマとしたご講演を行った。今回の勉強会並びに専門家によるご講演では、将来的にNPO・NGOで活躍したいと考える学生たちのキャリアの幅を広げることを目指して行った。

勉強会の到達目標

「NPO・NGO団体の活動内容の理解」「NPO団体の創設過程」の2つを本タームの柱とし、これらに加えて「NPO・NGO団体の歴史」や「NPO・NGO団体が抱える課題」なども勉強会の要素として取り入れた。NPO・NGO団体への多面的な理解を深めることを第1タームの目標とし、以下に示す。

1. NPO・NGO団体の活動内容の理解 勉強会ではNPO・NGO団体の歴史について取り上げることで、 NPO・NGOへの更なる理解を深めることを目的とした。専門家によるご講演では、顧みられない熱帯病NTDsに対する具体的な対策について理解を深めることを目的とした。

2. NPO団体の創設過程 NPO・NGO団体を一から作り上げた経験を持つ専門家をお呼びし、NPO・NGO設立にあたって直面した課題や、NPO・NGO設立後の課題などへの理解を深めることを目的とした。

講演者一覧

AAR Japan 支援事業部長 久保田和美先生
NPO法人ロシナンテス理事長 川原尚行先生

勉強会日程一覧

10/16 19:00~20:00
「NPO・NGO団体の歴史と社会への貢献」学生勉強会

10/18 20:00~21:30
AAR Japan 支援事業部長 久保田和美先生 講演会

10/23 20:00~21:00
「国際保健を支えるNPO・NGO団体の活動紹介」学生勉強会

11/6 20:00~21:30
NPO法人ロシナンテス理事長 川原尚行先生 講演会

勉強会報告

「NPO・NGO団体の歴史と社会への貢献」グループサマリー

2023年10月16日に行われたWeek1学生勉強会では、Week1では、まず前半で世界的にNGOが成立していった歴史、日本におけるNGOの歴史について触れた。また後半では、NGO団体の社会への貢献というテーマでWeek2にご講演いただくAAR  Japanについて紹介させていただいた。

 第一次世界大戦時の混乱期において、セーブ•ザ•チルドレンが成立したのを皮切りに、その後の戦争時にもさまざまな国際NGOが成立していったという歴史があった。また、日本でもインドシナ難民問題の際にさまざまなNGOが立ち上がったのを始まりに、日本のNGOが発展していったという歴史がある。このように、戦争などで社会の混乱が生じた際に、民間の立場で人道支援を行うNGOの存在が重要になることが分かった。今回は数ある日本のNGO団体からAAR Japanに焦点を当てて、国内外における難民、災害、感染症、障碍者、地雷、教育などの多岐にわたる支援活動について理解を深めていった。特に近年では、国内での地震の発生頻度が著しく高く、震災や津波の被害を受けた地域に対する支援活動に力を入れているとわかった。また、AAR Japanの発足のきっかけとなった難民支援活動も、今日では「在日難民・避難民のための生活支援プログラム」として活動を続けていると知った。しかし、日本の難民認定は世界でもWeek2の講演に対する興味を高めることができた。

 2023年10月18日に行われたWeek2の専門家講演では、ミャンマー・ラオスでの災害支援や障碍者支援の経験がある、AAR Japan 支援事業部長の久保田和美先生に講演を賜った。ご講演では、スーダンにおけるマイセトーマ対策を中心にAARjapanの活動をご紹介いただいた。スーダンでの地雷対策を行っている中で、マイセトーマでも四肢を失っている人たちがいるこが分かったことから始まり、現在ではスーダンの研究所などと共同で対策を行っていることをお話しいただいた。現地の人たちがマイセトーマに対する知識が乏しいことや病院が遠くにあることなどから、啓発活動、モバイルチームを派遣しての手術支援や現地の団体の能力強化などの様々な対策を行っていることが分かった。特に、マイセトーマに関する知識が乏しく、伝統医療に頼ってしまっていることや偏見により、病状が悪化した人たちがたくさおり、現地でもMPFA(Mycetoma Patients Friends Association)という啓発活動を行う組織もあることから、感染症対策での啓発活動の重要性を改めて感じることができた。また、内戦が起きているスーダンの現状も解説いただき、人道状況が悪化していることを改めて知り、スーダンが平和を取り戻してほしいと強く感じた。このように、また、マイセトーマ対策における問題点やスーダンの現状などを知ることができ、感染症やNGO団体に関する理解を深める講演となった。

文責:塚原万葵・大城健斗

「国際保健を支えるNPO・NGO団体の活動紹介」グループサマリー

2023年10月23日に行われたWeek3の学生勉強会では、国内外のNPOやNGOを調べあげ、それらの特徴とともに共有をした。世界に1,000万以上あると推定されているNPOやNGOは、国際保健の分野において大きな役割を果たしていることは明らかである。一方、その活動内容については知られていないと考え、今回このような勉強会を企画した。勉強会の中ではNPOやNGO団体を①疾患アプローチ​②医療従事者育成​③アドボカシー活動​④災害/緊急医療 ​⑤コミュニティ開発​⑥ユニークな活動と分類し、12団体を紹介させていただいた。

「ハンセン病」という特定の疾患に取り組む笹川保健財団のプロジェクトでは、長い歴史の中で制圧を目指すとともに、社会的側面のアプローチがとても充実していると感じた。特に、偏見差別撤廃と回復者支援のプロジェクトは、人としての尊厳を長期的に保護する目的でとても重要なものであると考える。また、歴史保存の支援を止めないことで、これからの感染症への教訓を残し続けることの重要性を知ることが出来た。

World VisionやNTDs Youthの会のようなアドボカシー活動を行う団体からは、国際保健の活動を行う中で、多くの人に「知ってもらう」ことの重要性を感じた。政府・国際機関、日本国民、支援地域の市民に対して、それぞれにアドボカシーを行うべき理由があり、適した内容を効果的に行うことの重要性を感じた。また、アドボカシー活動を行う中で、様々なセクターが協働して動くことの重要性とそのインパクトの大きさを感じた。

赤十字国際委員会(ICRC)が国際人道法の守護者・番人として収容所のモニタリングを行ったり、ピースウィンズジャパンが災害支援の「仲間」でもある犬が殺処分される現状を変えたいという思いから保護犬事業を開始したりするなど、災害・緊急支援を活動の中心とする団体の中でも、各々のビジョン・ミッションに基づいてそれぞれ特徴的な活動があることを知った。また各活動は各々のビジョンを目指す中で新たな需要が生じ、その需要を満たすために形成されていることを学んだ。

さらに、AfriMedicoのように日本の伝統的な置き薬の仕組みを現代版に置き換えて活用するという、既存の枠組みに当てはまらないユニークな活動を紹介することで、国際保健分野でのNPO・NGOの新たな価値を学んだ。

事前調査を行う中で、国際保健という一つの課題に対して、様々なアプローチがあることを深く知ることが出来た。国際保健を志す学生にとって将来の選択肢を考えるうえでの有益な情報になると嬉しく思う。参加学生から、沢山のNPOやNGOが活動している中でその資金源はどこなのか、などNPOやNGOが実際の活動に関する質問が寄せられた。

2023年11月6日に行われたWeek4専門家講演会では、スーダンで1から団体を設立され、医療分野だけでなくインフラ設備にも取り組まれている認定NPO法人ロシナンテスの理事長、川原尚行先生にオンラインで講演を賜った。ご講演では、団体設立のきっかけ、教育やインフラ設備に事業を広げていかれた経緯、大学や企業と提携したデジタル事業、アメリカとスーダンの関係性から現在のスーダンでの内戦等、多岐に渡る内容についてお話頂いた​。スーダンの子供がリーシュマニアという病に侵された写真、川原先生自身がスーダンでの内戦勃発時に撮影した銃撃の音が響く動画を交えながらお話しいただき、現地の様子を垣間見ることができた。特に、日本に数年間留学していた私たちと同じくらいの年齢のスーダンの青年が、今回の内戦で自分が立ち上げた事業を破壊されたにもかかわらず、「これから」をキーワードに一生懸命日本語で語りながら未来に歩む姿は視聴していた学生に勇気を与えた。最後に「知性だけではなく感性を磨くべき」とのメッセージを頂き、本講演を締めくくった。

文責:川崎花純・大矢千瑛

謝辞

報告書の締めくくりにあたり、お忙しい中、久保田和美先生、川原尚行先生から善意でのご協力を賜りました。心からの御礼を申し上げます。 ありがとうございました。

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