2020年01月29日にHIVターム week3学生勉強会、2021年02月01日にHIVタームweek4を行い、東京女子医科大学 杉下智彦先生にご講演いただきましたので、ご報告いたします。
学生勉強会概要
Week 3&4は 「stigma・discrimination」にフォーカスを当てながら、HIV/AIDSがもたらしている社会問題について学生勉強会にて疑問を投げかけ、その疑問に対する各々の答えを求めながら、東京女子医科 大学国際環境・熱帯医学講座の杉下智彦先生にご講演をいただくという形式で開催された。
2021年1月29日に行われた学生勉強会では、stigmaやdiscriminationの形や定義、HIVの歴史、U=U、医療従事者からPLHIVへの差別問題、などについて発表者から概説をし、以下にあげる3つの疑問を勉強会後に希望者でディスカッションをした。
- 差別の根本には何があるのか?
- どうやって解決できるのか?
- 私たちにできることは?
これら3つの疑問を各々が専門家講演までに考えたうえで、2021年2月1日の杉下先生のご講演に臨んだ。
ご講演者
東京女子医科 大学国際環境・熱帯医学講座 杉下智彦先生
演題 病気をめぐる差別・偏見そして権利
杉下先生は、外科医師、保健システム専門家、医療人類学者として、アフリカを中心に20 年間に30ヶ国で保健システム案件の立案や技術指導に携われていらっしゃる先生である。青年海外協力隊の外科医師として、当時成人の HIV罹患率が40%というアフリカのマラウイ共和国にて3 年間で 3000 例を越える手術を行う経験をされた事をきっかけに、「病気にならない社会」を作ることをミッションにされている。先生の幅広いご経験と知識をもとにご講演いただくという運びになった。
ご講演概要
先生には、アフリカにおいて外科医として数多くのHIVの治療に携わられてきたご経験をもとに、HIVに対する偏見・差別について実例を示しながら、偏見・差別がなぜ起こってしまうのか、コミュニティはどうそれを受け止めてきたのかについてお話していただいた。また、先生は医療人類学者でもあり、HIVに限らず偏見・差別一般について、その構造的仕組みや多様性をどう受け入れていくのが良いのか、日本における偏見・差別の問題も交えたお話もしていただいた。日本で一番HIVの治療に当たり、そのひとつひとつが抱える物語に触れてこられた先生のお話は、とても深く考えさせられることばかりであり、医療者を目指す学生にとって良い内省・問題提起の場になったと考える。
Week 3,4「差別・スティグマ」ではHIVが社会でどのように捉えられてきたか、そしてその現状について、主体性を持って考える機会ともなった。