デングウイルス感染症(week6)

2020年12月21日にデングウイルス感染症タームweek6を行い、長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学分野教授 Moi Meng Ling博士にご講演いただきましたので、ご報告いたします。

ご講演者

長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学分野教授 Moi Meng Ling博士

 Moi先生は感染症免疫学の視点で、デングウイルスをはじめとするフラビウイルスなどの蚊媒介感染症の研究をされており、特にADEに関しては世界を先駆けて研究に従事されている。我々は学生勉強会でデングウイルス感染症の免疫やADEの作用機序について学習を行なったが、更にデングワクチン開発の現状や研究ビジョンに関してご講演をいただくことを目的とした。

概要

 Week 6では長崎大学熱帯医学研究所 病原体解析分野教授のMoi Meng Ling先生にご講演をいただいた。Week 5 & 6のテーマである「ADE」についてweek 5で取り上げた論文からのアップデートやCOVID-19のワクチン開発についてお話いただいた。また、Moi先生のこれまでのキャリアについてもお話いただき研究者を目指す学生にとって具体的なキャリアプランを考えるきっかけとなった。

 Moi先生は、従来のプラーク減少中和試験法を応用して、Fcγ受容体を発現した細胞を用いることでより生物学的に意義のある中和抗体価およびウイルス力価を測定するアッセイの構築を実現された。Week6では、Week5の学生勉強会を踏まえ、その有用性について学んだ。さらに、Moi先生は感染時期によって多様な抗体が生まれていることから具体的なIgGの遺伝子を解析することを行い、デングワクチン開発のためにマーモセットを用いたモデルの確立をテーマに研究に従事されている。研究のご紹介に加え、DENVやZika Virusの血清疫学について学び、DENVやCOVID-19のワクチン開発における課題についてMoi先生のご見解を伺った。

 最後に、Moi先生がマレーシアから日本に来ての現在の研究室で研究をするまでのキャリアパスやどのような思いを持って日本に留学し研究を行ってきたかなどをお話いただいた。「迷っても、ブレても、Don’t mind!」というメッセージをいただいた。

 DENVタームの最後にADEというテーマを取り上げることで、まだまだ分からないことも多い研究の最先端を学ぶことができた。同時に、Moi先生から研究者としてのキャリアパスを伺うことで研究者を目指す学生にとってとても良い機会となった。DNEVを用いてADEの解明という基礎研究とDNEVやCOVID-19のワクチン開発を行うMoi先生から論文を読むだけでは分からない最先端の研究内容やキャリアパスを学ぶことで多くの学生にとって刺激となった。

関連報告

TOP
TOP