2020年10月28日にデングウイルス感染症week1の学生勉強会を行いましたので、ご報告いたします。
演題
デングウイルス感染症introduction
デングウイルス感染症と蚊
ベクターコントロールについて
概要
第2タームではデングウイルス感染症をテーマとして取り上げた。デングウイルス感染症への理解を深めるために大きく3つのテーマ(ベクターコントロール、輸入感染症、AED)に分けて勉強会を進めていくことを説明した。Week1ではベクターコントロールをテーマとして扱い、デングウイルス感染症の基本的な事項及び、その媒介昆虫の生態、制御手法についての学習会を行った。
Week1ではデングウイルス感染症を学ぶ上で重要となるベクターコントロールに焦点を当てつつ、蚊の生態や生理について勉強会を行った。蚊は寄生虫疾患やウイルス疾患を媒介する衛生害虫であり、蚊の種類によって生活リズムや発生場所が異なる。どのようにすればヒトと媒介昆虫の感染サイクルを断ち切れるのかを考えるために、媒介蚊の発育環境や発育過程を学んだ。他にも、渡航医学と産業保健についても触れ、労働者海外派遣での3つのリスクとして、メンタルヘルス、感染症、生活習慣病などが挙げられることなどを学んだ。また、デングウイルスは家と家が密集しているほど広まりやすいためクラスターが発生しやすく、媒介昆虫が存在するため温度、湿度、降水量などにも左右されやすい。その上で、IVM(総合的なベクター対策管理)の6つ要因についても触れ、モニタリングなど行政レベルで行う対策から、DEETなど化学剤を利用した個人レベルで行う対策まで、様々な対策方法について学んだ。さらには近年蚊の撲滅対策に用いられるWolbachiaについても触れた。
今回の勉強会においては、デングウイルス感染症の基本的な事象に触れたのち、疾病制御において非常に重要な立ち位置を占めるベクターコントロール及びその背景にある媒介昆虫の生態について理解を深めることができた。デングウイルス感染症に馴染みのない日本の学生であっても、デングウイルス感染症について知るきっかけとなる会となった。